業界別 熱中症対策ガイド

清掃・廃棄物処理業の熱中症対策

過酷な暑熱環境で作業員を守るために。ごみ収集・焼却施設・リサイクル工場での予防・管理の実践ガイド。

約8%
運輸・清掃業の
熱中症死傷者割合
6-9月
危険期間
10-15時
最も危険な時間帯

1.清掃・廃棄物処理業の熱中症リスク

清掃・廃棄物処理業は、ごみ収集車での巡回作業や焼却施設での高温作業など、複合的な暑熱リスクにさらされる業種です。屋外の収集作業では直射日光と路面輻射熱、施設内では焼却炉や処理装置からの放射熱が加わります。

なぜ清掃・廃棄物処理業で熱中症が多いのか

  • 収集作業の高い身体的負荷:ごみ袋の持ち上げ・運搬を繰り返す重労働で、体内の産熱量が急激に増加します
  • 防護服・マスクによる体温上昇:悪臭防止や衛生管理のための防護服・マスク着用が、体からの放熱を大幅に妨げます
  • 焼却施設の高温環境:焼却炉周辺は室温が50℃を超えることがあり、短時間でも熱中症のリスクが極めて高くなります
  • 早朝からの長時間作業:ごみ収集は早朝開始ですが、夏季は朝から気温が高く、午前中から熱中症リスクが発生します
  • 収集ルート上の休憩場所不足:巡回ルート上に日陰のある休憩場所が限られ、十分な休憩が取りにくい環境です
約150件
清掃・廃棄物処理業の
年間熱中症休業災害
50℃超
焼却施設内の
最高気温(炉周辺)
65%
収集作業中に
発症する割合

出典:厚生労働省「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」

2.過去の労災事例から学ぶ

清掃・廃棄物処理業の熱中症事故は、高温環境での身体的負荷の大きさと、休憩場所の確保の難しさに起因するケースが多く見られます。

事例1 ごみ収集作業

夏季のごみ収集巡回中に作業員が倒れる

8月上旬、気温35℃の住宅地でごみ収集作業に従事していた45歳の作業員が、午前11時頃にごみ袋を収集車に投入する動作中にふらつき倒れた。朝7時からの連続作業で約4時間が経過しており、ペットボトル1本分しか水分を摂取していなかった。

教訓:収集ルートに給水ポイントを設定し、作業車に十分な飲料水を積載する。午前中でも2時間ごとの休憩を確保する。

事例2 焼却施設内作業

焼却炉の定期点検作業中に熱射病

7月中旬、焼却炉の定期停止点検で炉内に入り作業していた52歳の作業員が、作業開始40分後に意識を失った。炉は停止中だったが残熱で内部温度は48℃に達しており、防護服の着用で体温が急上昇した。搬送後、深部体温41.0℃の重度熱射病と診断された。

教訓:高温設備の点検作業は内部温度が十分に低下してから実施。作業は20分以内とし、必ず体温冷却の休憩を挟む。

事例3 リサイクル処理施設

屋根のない分別ヤードでの長時間作業

8月下旬、屋外のリサイクル資源分別ヤードで手作業による分別を行っていた38歳の作業員が、午後2時頃に激しい頭痛と嘔吐を訴えた。屋根のない分別エリアで4時間以上の連続作業を行い、ゴム手袋と防塵マスクの着用で体温が過度に上昇していた。

教訓:屋外の分別ヤードには日陰テントを設置し、連続作業は1時間以内に制限。防護装備着用時はより頻繁な休憩を設ける。

3.ガイドラインと法的義務

清掃・廃棄物処理業の事業者は、労働安全衛生法に加え、廃棄物処理法に基づく安全管理義務があります。高温作業場(焼却施設等)では、労働安全衛生規則の高温作業に関する規定も適用されます。

事業者の法的義務

1
WBGT値の計測と記録

収集ルート上の代表地点および施設内高温区域のWBGT値を定期的に計測し、記録する

2
作業環境の改善

分別ヤードへの日陰設置、収集車のエアコン整備、施設内の局所排気・冷却設備の設置

3
作業時間の管理

高温作業場での連続作業時間の制限、WBGT基準値超過時の収集ルート短縮・作業中断

4
健康管理と体調確認

作業前の体調チェック、高温作業従事者の定期健康診断、持病のある作業員への配慮

5
教育訓練の実施

全作業員への熱中症予防教育、防護服着用時の注意点、緊急時の対処法の周知

安全配慮義務違反のリスク

清掃・廃棄物処理業で熱中症事故が発生した場合、安全配慮義務違反に加え、高温作業場の管理不備として労働安全衛生法違反を問われる可能性があります。特に焼却施設内での事故は、作業環境管理の不備が直接問われるため、厳しい行政処分の対象となることがあります。

WBGT計測記録、作業時間管理の記録、教育訓練の実施記録を適切に保管することが重要です。

4.現場で使える対策チェックリスト

管理者・現場責任者が毎日確認すべき項目です。収集作業と施設内作業で異なるリスクがあるため、配置に応じた確認を実施してください。

作業前(朝礼時)
  • 天気予報・WBGT予報を確認し、危険度に応じた対策を周知
  • 全作業員の体調確認(睡眠・飲酒・前日の疲労度)
  • 収集車に十分な飲料水・塩飴・経口補水液を積載
  • 冷却タオル・保冷剤ベストなど冷却グッズの配布
  • WBGT高値が予想される場合は収集ルートの見直しや時間帯変更を検討
作業中
  • 収集作業は2時間ごとにエアコン付き車内で休憩(最低15分)
  • 水分補給は20分に1回、コップ1〜2杯を目安に声かけ
  • 焼却施設内での連続作業は30分以内とし、冷却休憩を挟む
  • 防護服着用時は通常より短い間隔で休憩を取得
  • 作業員同士で互いの顔色・発汗量・動作の異変を確認
  • WBGT基準値超過時は屋外作業を中断し、涼しい場所で待機
異常発生時
  • 直ちに作業を中止し、エアコンの効いた車内または日陰に移動
  • 防護服・マスクを脱がせ、体を冷やす(首・脇・鼠径部に保冷剤)
  • 意識がある場合は経口補水液を少しずつ摂取させる
  • 意識障害・けいれんがある場合は即座に119番通報
  • 発生状況を記録し、事業所・労基署に報告

5.WBGTを活用した作業管理

WBGT(暑さ指数)は、気温・湿度・輻射熱を総合的に評価する指標です。清掃・廃棄物処理業では防護服着用による体温上昇を考慮し、一般基準より厳しめの管理が求められます。焼却施設内は個別にWBGT計測が必要です。

WBGT値 危険度 清掃・廃棄物処理業での対応
31℃以上 危険 屋外収集作業を原則中止。緊急収集は15分作業→30分冷却休憩を厳守
28〜31℃ 厳重警戒 収集作業は30分ごとに車内休憩。施設内高温作業は20分以内。防護服作業は特に注意
25〜28℃ 警戒 1時間ごとに休憩。水分・塩分補給を促進。防護服着用時は短縮運用
25℃未満 注意 通常作業可。焼却施設内作業は引き続きWBGT個別管理を継続

作業エリアのWBGT予報を確認

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6.heat119で作業員の安全を守る

heat119は清掃・廃棄物処理業の作業員向けに、巡回中でも簡単に体調報告ができる仕組みを提供します。収集ルート上の作業員も施設内の作業員も、一元的に見守ることが可能です。

WBGT自動通知

収集ルートエリアのWBGT予報をリアルタイム監視し、基準値超過時に管理者へ自動通知。ルート変更や作業中断の判断を支援します。

作業員の体調見守り

作業前の体調申告と巡回中の定期確認をスマホで簡単に実施。収集車で離れた場所にいる作業員の状態も把握できます。

危険アラート

体調確認への未応答を即座に検知し、管理者へ通知。巡回中の作業員の異変にいち早く対応できます。

作業記録の自動保存

WBGT値の記録、体調確認の実施履歴、対策の記録を自動保存。労基署への報告や安全配慮義務の証明に活用できます。

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