業界別 熱中症対策ガイド

造園・外構業の熱中症対策

炎天下の植栽・剪定・外構工事で作業員を守るために。緑の現場に特化した予防・管理・対応の実践ガイド。

約10%
造園・土木業の
熱中症死傷者割合
6-9月
危険期間
10-15時
最も危険な時間帯

1.造園・外構業の熱中症リスク

造園・外構業は、植栽・剪定・芝張り・ブロック積みなど終日屋外で身体的負荷の高い作業が続く業種です。夏季は繁忙期と高温が重なり、無理なスケジュールで熱中症リスクが一層高まります。

なぜ造園・外構業で熱中症が多いのか

  • 終日屋外の重労働:土掘り・石運び・ブロック積みなど、高い身体的負荷が長時間続き、体内の産熱量が大きくなります
  • 湿度の高い作業環境:植栽地や散水後の現場は湿度が高く、発汗による体温調節の効率が大幅に低下します
  • 刈払機・チェーンソーの振動負荷:動力工具の使用は腕・全身への負荷が大きく、体温上昇を促進。防護装備も放熱を妨げます
  • 夏季繁忙期の過密スケジュール:植物の成長期と重なる夏は剪定・除草の依頼が集中し、休憩を削って作業しがちです
  • 小規模事業者が多い業界構造:少人数での作業が多く、安全管理体制が十分でないケースが見られます
約180件
造園・土木関連の
年間熱中症休業災害
80%以上
午前10時〜午後3時の
発症割合
50代以上
発症者の
中心年齢層

出典:厚生労働省「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」

2.過去の労災事例から学ぶ

造園・外構業の熱中症事故は、繁忙期の過密スケジュールや、少人数現場での安全管理不備に起因するケースが目立ちます。

事例1 公園樹木の剪定作業

高所での剪定作業中にふらつき転落

8月上旬、公園の高木剪定作業で、高所作業車のバケット内で作業していた56歳の造園職人が、チェーンソーを使用中に突然ふらつき、安全帯で宙吊り状態となった。気温34℃の中、防振手袋・ヘルメット・安全帯を着用しての連続作業が3時間に及んでいた。熱中症によるめまいが原因と判明。

教訓:高所作業は1.5時間を上限とし、必ず地上で水分補給と冷却休憩を取る。チェーンソー使用時は振動負荷も考慮し、より短い間隔の休憩が必要。

事例2 住宅外構工事

コンクリートブロック積み作業中に脱水症状

7月下旬、住宅の外構ブロック塀の施工中、42歳の作業員がモルタルを練りながらブロックを積む作業で激しい筋肉痛と痙攣を訴えた。気温33℃、WBGT29℃の環境でコンクリートからの輻射熱も加わり、朝8時からの作業で水分摂取がペットボトル2本程度だった。

教訓:モルタル作業など重労働時は30分に1回の水分補給を厳守。塩分も併せて摂取し、筋肉痙攣を予防する。コンクリート面の輻射熱にも注意。

事例3 除草・草刈り作業

広大な敷地の除草作業で複数名が同時発症

8月中旬、工場敷地内の除草作業で、刈払機を使用していた作業員5名中2名が午後1時過ぎに相次いで体調不良を訴えた。作業は施主の要望で「今週中」と期限が切られており、昼休憩を30分に短縮して作業を続けていた。2名とも点滴治療が必要な中等症だった。

教訓:施主の納期要望よりも作業員の安全を優先する。高温日は午後の刈払い作業を回避し、朝の涼しい時間帯にスケジュールを集中させる。

3.ガイドラインと法的義務

造園・外構業の事業者は、労働安全衛生法に基づき作業員の安全を守る義務があります。小規模事業者であっても、厚生労働省「職場における熱中症予防基本対策要綱」の遵守が求められます。

事業者の法的義務

1
WBGT値の把握と作業計画への反映

作業場所のWBGT値を確認し、高温が予想される日は作業時間帯の変更や作業量の調整を行う

2
休憩場所・飲料水の確保

作業現場にタープテントなどの日陰休憩スペースを設置し、クーラーボックスで冷たい飲料水を確保する

3
作業時間の調整

高温時間帯(11〜15時)の重労働を回避し、早朝や夕方にシフトする柔軟なスケジュール管理

4
作業前の体調確認

朝の打ち合わせ時に全作業員の体調を確認し、高齢者や体調不良者は軽作業に配置転換する

5
教育と緊急時対応の準備

熱中症の症状と応急処置の教育実施、緊急連絡先の共有、最寄りの救急病院の確認

安全配慮義務違反のリスク

造園・外構業は小規模事業者が多い業界ですが、事業規模に関係なく安全配慮義務は適用されます。従業員が熱中症で被災した場合、WBGT管理や休憩確保の不備を理由に、損害賠償を請求される可能性があります。元請会社との関係でも、一人親方であっても安全対策は必須です。

日々のWBGT確認記録、体調確認の実施記録、休憩時間の記録を残すことが、法的リスクを軽減します。

4.現場で使える対策チェックリスト

現場責任者・職長が毎日確認すべき項目です。造園作業は現場が日々変わるため、各現場で初日に環境確認を徹底してください。

作業前(朝の打ち合わせ時)
  • 天気予報・WBGT予報を確認し、作業スケジュールを調整
  • 全作業員の体調確認(前日の飲酒・睡眠・朝食の有無)
  • 現場にタープテント・クーラーボックス・飲料水を設置
  • 高温時間帯の作業計画を確認(重労働は午前中に集中)
  • 冷却グッズ(冷却タオル・保冷剤ベスト・ファン付き作業着)の準備
作業中
  • 刈払機・チェーンソー作業は45分ごとに15分の休憩を確保
  • 水分補給は20分に1回、塩飴や経口補水液も併用
  • WBGT値が28℃を超えたら重労働(土掘り・石運び)を一時中断
  • 11〜14時の時間帯は軽作業(散水・片付け等)に切り替え
  • 作業員同士で顔色・発汗量・動作の変化を確認し合う
  • 高所作業(脚立・高所作業車)中の作業員は特に注意して監視
異常発生時
  • 直ちに作業を中止し、動力工具の電源を切って日陰に移動
  • 作業着を緩め、体を冷やす(首・脇・鼠径部に保冷剤・冷水)
  • 意識がある場合は経口補水液を少しずつ摂取させる
  • 意識障害・けいれん・自力歩行不可の場合は即座に119番通報
  • 発生状況を記録し、会社・元請に報告

5.WBGTを活用した作業管理

WBGT(暑さ指数)は、造園作業の安全管理に最適な指標です。造園業では作業強度が高く、湿度の影響も大きいため、気温だけでなくWBGT値による総合的な判断が重要です。刈払機やチェーンソーなどの動力工具使用時は、より保守的な基準で管理してください。

WBGT値 危険度 造園・外構業での対応
31℃以上 危険 原則作業中止。やむを得ない場合は散水・軽作業のみ。動力工具使用禁止
28〜31℃ 厳重警戒 重労働30分+休憩15分のサイクル。刈払い作業は日陰部分のみ。高所作業は特に注意
25〜28℃ 警戒 1時間ごとに休憩。水分・塩分補給の促進。午後の最高気温帯は軽作業に切り替え
25℃未満 注意 通常作業可。ただし重労働時は定期的な水分補給を継続

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WBGT自動通知

作業現場エリアのWBGT予報をリアルタイムで監視し、基準値超過時に責任者へ自動通知。作業計画の見直し判断を支援します。

作業員の体調見守り

朝の打ち合わせ時の体調申告と作業中の定期確認をスマホで簡単に実施。少人数現場でも安全管理を徹底できます。

危険アラート

体調確認への未応答を即座に検知し、責任者へ通知。広い敷地内で離れて作業する場合も異変にいち早く気づけます。

安全管理記録

WBGT確認記録、体調確認の実施履歴を自動保存。小規模事業者でも安全配慮義務の履行を証明できます。

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