工場・製造業の熱中症対策
密閉空間・高温作業が常態化する製造現場。見えにくいリスクを可視化し、科学的に管理する。
死傷者割合
体感温度
見落とし率
目次
1.工場・製造現場の熱中症リスク
製造業は建設業に次いで熱中症の労災発生が多い業種です。特に注意すべきは、「屋内だから安全」という誤認です。工場内は空調が不十分な場合が多く、機械の発熱や作業熱が蓄積して危険な環境になります。
なぜ工場・製造現場で熱中症が多いのか
- 密閉空間の熱蓄積:屋根からの輻射熱と機械の排熱が室内に蓄積し、外気温より10℃以上高くなることがあります
- 炉前・溶接作業:炉や溶接の輻射熱は局所的に60℃以上になり、全身の温度上昇を急激に促進します
- 蒸気・湿度:食品工場や化学工場では高湿度環境となり、発汗による体温調節が機能しなくなります
- 保護具の着用義務:防塵マスク・保護メガネ・耐熱手袋などが放熱を妨げます
- ライン停止の圧力:生産ラインを止められない心理的プレッシャーから、体調不良を申告しにくい環境になりがちです
熱中症休業災害
熱中症死亡者数
割合
2.過去の労災事例から学ぶ
炉前作業中の重度熱中症
金属溶融炉の前で作業していた従業員が、作業開始3時間後に意識朦朧となり倒れた。工場内の気温は38℃、炉前のWBGT値は34℃を超えていた。空調設備はあったが炉周辺には効果が届いていなかった。
教訓:工場全体の気温ではなく、作業ポイントごとのWBGT測定が必要。炉前にはスポットクーラーの設置と短時間交代制を導入すべき。
高湿度環境での集団発症
ボイラー室に隣接する食品加工ラインで、同日に3名が体調不良を訴えた。室温は32℃だったが湿度は85%に達しており、体感では「さほど暑くない」と感じていた。
教訓:気温だけでなく湿度を含むWBGT値での管理が不可欠。「暑くない」と感じていても湿度が高ければ危険。
夜勤帯での発症
夜勤帯の塗装ブースで作業員が熱中症を発症。日中の熱が建物に蓄熱し、夜間でもWBGT値が28℃を超えていた。「夜は涼しいはず」という思い込みから対策が手薄だった。
教訓:蓄熱効果により夜勤帯でも高温環境は持続する。時間帯に関わらずWBGT監視が必要。
3.業界ガイドラインと法的義務
製造業においても、労働安全衛生法および厚生労働省「職場における熱中症予防基本対策要綱」に基づく対策が義務付けられています。特に工場は作業環境測定の対象となる場合があり、より厳格な管理が求められます。
製造業特有の法的要件
著しく暑い場所での作業は、事業者に作業環境測定の実施が義務付けられます(労安法第65条)
作業場所ごとのWBGT値を把握し、基準値を超える場合は作業時間短縮・休憩確保の措置
高温環境で作業する労働者への特殊健康診断の実施と、結果に基づく適正配置
熱中症予防対策を衛生委員会で審議し、対策の改善を継続的に図ること
4.工場で使える対策チェックリスト
- 作業エリアごとにWBGT計を設置し、数値を見える化
- 大型送風機・スポットクーラーを熱源近くに配置
- 屋根への遮熱塗装・断熱材の施工
- エアコン完備の休憩室を作業エリア近くに確保
- 飲料水・経口補水液を作業動線上に常備
- 高温作業は交代制にし、連続作業時間を30分以内に制限
- 始業時に全員の体調を確認(前日の飲酒・睡眠時間含む)
- 「ラインを止めてもいい」という安全文化を管理者が率先して示す
- バディ制度(2人1組)で互いの体調を監視
- クールベスト・送風ファン付き作業着の支給
5.WBGTを活用した温度管理
工場では「気温」だけでは危険度を正しく把握できません。湿度と輻射熱を含むWBGT値による管理が必須です。特に食品工場のような高湿度環境では、気温が30℃でもWBGT値が31℃を超えることがあります。
| WBGT値 | 危険度 | 工場での対応 |
|---|---|---|
| 31℃以上 | 危険 | 該当エリアの作業停止。緊急の換気・冷却措置を実施 |
| 28〜31℃ | 厳重警戒 | 15分交代制。スポットクーラー増強。水分補給を15分毎に |
| 25〜28℃ | 警戒 | 30分毎の休憩。送風設備の確認。巡視の強化 |
| 25℃未満 | 注意 | 通常作業可。ただし炉前等の局所高温エリアは個別管理 |
6.heat119で工場の安全を守る
heat119は工場・製造現場向けに、WBGT自動監視・作業員の体調見守り・法令遵守の記録管理を一元化したサービスです。ライン停止の判断根拠としても活用できます。
エリア別WBGT監視
工場全体ではなく、炉前・ライン別にWBGT値を把握。局所的な高温を見逃しません。
始業時の体調チェック
スマホで簡単に体調申告。「ラインを止めたくない」心理を超えて、安全を可視化。
危険アラート通知
WBGT基準値超過時に管理者へ即時通知。根拠に基づくライン停止判断が可能に。
衛生委員会向け記録
WBGT記録・対策実施履歴を自動保存。衛生委員会への報告資料として活用できます。