業界別 熱中症対策ガイド

建設業の熱中症対策

炎天下の現場で作業員の命を守るために。科学的根拠に基づく予防・管理・対応の実践ガイド。

31.2%
建設業の熱中症
死亡者割合
7-8月
発生ピーク
14-16時
最も危険な時間帯

1.建設現場の熱中症リスク

建設業は、全産業の中で熱中症による死亡者数が最も多い業種です。厚生労働省の統計によると、職場における熱中症死亡者の約3割が建設業で発生しています。

なぜ建設現場で熱中症が多いのか

  • 直射日光と反射熱:コンクリートやアスファルト面からの輻射熱で、体感温度は気温より5〜10℃高くなることがあります
  • 重装備での作業:安全帯・ヘルメット・長袖作業着・安全靴の着用が必須であり、体からの放熱が妨げられます
  • 高所作業の危険:足場や鉄骨上では意識障害が転落事故に直結し、重大災害につながります
  • 筋肉労働による体温上昇:建設作業は身体的負荷が高く、代謝による産熱量が大きくなります
  • 暑熱順化不足:梅雨明け直後や連休明けなど、体が暑さに慣れていない時期に発生が集中します
約400件
建設業の年間
熱中症休業災害(4日以上)
約10名
建設業の年間
熱中症死亡者数
70%以上
発症後1週間以内の
死亡割合

出典:厚生労働省「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」

2.過去の労災事例から学ぶ

建設現場での熱中症災害は、共通するパターンがあります。過去の事例を知ることで、同じ悲劇を繰り返さない対策が可能です。

事例1 道路舗装工事

アスファルト舗装作業中の死亡事故

真夏日の道路舗装工事で、作業員がアスファルト敷き均し作業中に体調不良を訴えた。休憩後に復帰したが、30分後に意識を失い搬送先で死亡。アスファルト路面温度は60℃を超えていた。

教訓:一度体調不良を訴えた作業員を同日に復帰させない。アスファルト舗装作業は路面温度を考慮したWBGT管理が必要。

事例2 鉄骨建方工事

高所作業での意識喪失による転落

8月上旬、鉄骨建方作業中に作業員が10m高所のH形鋼上でふらつき転落。気温35℃、WBGT値は32℃を超えていたが、作業中断の基準が明確でなかった。

教訓:WBGT値に基づく明確な作業中断基準の設定が不可欠。高所作業では特に厳しい基準が必要。

事例3 建築工事(梅雨明け直後)

梅雨明け直後の暑熱順化不足

梅雨明け翌日、建築現場で前日まで屋内作業だった作業員が屋外のコンクリート打設作業に従事。作業開始2時間後に熱中症を発症し救急搬送。暑熱順化が不十分だった。

教訓:梅雨明け・連休明けは暑熱順化期間(7日程度)を設け、作業負荷を段階的に引き上げる。

3.厚労省ガイドラインと法的義務

建設業の事業者は、労働安全衛生法に基づき作業員の安全と健康を守る義務があります。厚生労働省は「職場における熱中症予防基本対策要綱」で具体的な措置を定めています。

事業者の法的義務

1
WBGT値の把握

作業場所のWBGT値(暑さ指数)を計測または予報から把握し、記録する義務

2
作業環境管理

日よけ・休憩所の設置、冷房設備・飲料水の確保など作業環境の整備

3
作業管理

WBGT基準値を超える場合の作業中断・短縮、暑熱順化期間の設定

4
健康管理

作業前の体調確認、持病がある作業員への配慮、定期的な巡視

5
安全衛生教育

作業員への熱中症予防教育の実施と記録の保管

安全配慮義務違反のリスク

建設現場で熱中症事故が発生した場合、事業者は安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われる可能性があります。過去の判例では、WBGT値を把握せず適切な作業管理を怠った事業者に対し、数千万円の賠償命令が出されています。

対策を「実施していた」だけでなく、「記録として残していた」ことが法的な争点で重要になります。

4.現場で使える対策チェックリスト

建設現場の安全管理者・職長が毎日確認すべき項目です。このチェックリストを現場に掲示し、朝礼で活用してください。

作業前(朝礼時)
  • 天気予報・WBGT予報を確認し、危険度を全員に周知
  • 全作業員の体調(睡眠・飲酒・朝食の有無)を確認
  • 新規入場者・暑熱順化不足の作業員を把握
  • 飲料水・塩飴・経口補水液の備蓄を確認
  • 日よけ・休憩所・送風機の設置を確認
作業中
  • WBGT値を定期的(1時間おき)に確認・記録
  • WBGT基準値超過時は作業の中断・短縮を判断
  • 連続作業時間を管理(30分作業→5分休憩のサイクル推奨)
  • 水分補給の声かけ(20分に1回、コップ1〜2杯)
  • 作業員の顔色・動作・発汗量を巡視で確認
  • 高所作業員には特に注意(ふらつき=転落リスク)
異常発生時
  • 直ちに作業を中止し、涼しい場所に移動
  • 衣類を緩め、体を冷やす(首・脇・鼠径部に保冷剤)
  • 意識がある場合は経口補水液を摂取させる
  • 意識障害・自力歩行不可の場合は即座に119番通報
  • 発生状況を記録し、元請・労基署に報告

5.WBGTを活用した作業管理

WBGT(暑さ指数)は、気温・湿度・輻射熱を総合的に評価する指標で、建設現場の熱中症リスク管理に不可欠です。厚労省はWBGT値に基づいて作業強度を管理することを求めています。

WBGT値 危険度 建設現場での対応
31℃以上 危険 原則作業中止。やむを得ない場合は10分作業→20分休憩
28〜31℃ 厳重警戒 連続作業30分以内。高所作業は特に注意。こまめな休憩と水分補給
25〜28℃ 警戒 1時間ごとに休憩。水分・塩分補給の促進。巡視の強化
25℃未満 注意 通常作業可。ただし高温作業(溶接等)は個別にWBGT管理

現場近くのWBGT予報を確認

heat119では環境省データに基づく全国のWBGT予報を無料公開しています。

6.heat119で建設現場の安全を守る

heat119は建設業をはじめとする屋外作業現場向けに開発された熱中症予防サービスです。チェックリストや巡視に頼る属人的な管理から、データに基づく科学的な安全管理へ移行できます。

WBGT自動通知

環境省のWBGT予報データをリアルタイムで監視し、基準値を超えた際に職長・管理者へ自動通知。手動計測の手間を省きます。

作業員の体調見守り

毎朝の体調申告と作業中の状態確認を簡単なスマホ操作で実現。体調不良者を即座に把握し、早期対応が可能に。

危険アラート

WBGT値の上昇や作業員の体調異変を検知し、リーダーと管理者にプッシュ通知。高所作業中の意識障害による転落事故を未然に防ぎます。

法令遵守の記録管理

WBGT値の記録、体調確認の実施履歴、対策の実施記録を自動保存。安全配慮義務の履行を客観的に証明できます。

建設現場の熱中症対策を始めませんか?

heat119は初期費用0円。まずはデモをお試しください。

関連コンテンツ