業界別 熱中症対策ガイド

電気工事・設備業の熱中症対策

感電リスクと熱中症リスクが同時に存在する現場で、作業員の命を守るための実践ガイド。

約12%
設備工事業の
熱中症死傷者割合
7-8月
発生ピーク
13-16時
最も危険な時間帯

1.電気工事・設備業の熱中症リスク

電気工事・設備業は、屋上のキュービクル作業や天井裏の配線工事など、閉鎖的で高温になりやすい作業環境が特徴です。さらに絶縁手袋・絶縁長靴など感電防止装備が熱こもりを助長し、熱中症と感電の二重リスクを抱えています。

なぜ電気工事で熱中症が多いのか

  • 屋上・屋根上での作業:太陽光パネル設置やキュービクル点検など、遮蔽物のない屋上は地上より気温が3〜5℃高くなります
  • 天井裏・ピット内の高温:換気が不十分な天井裏やEPS(電気配管シャフト)内は外気温より10℃以上高い場合があります
  • 絶縁装備による放熱阻害:絶縁手袋・絶縁長靴・防護衣は通気性が極めて低く、体温を閉じ込めます
  • 集中力低下が感電リスクに直結:熱中症の初期症状(めまい・判断力低下)が、活線作業中の感電事故を引き起こす危険があります
約250件
設備工事業の年間
熱中症休業災害
+10℃
天井裏の気温上昇
(外気温比)
45%
屋上・天井裏作業中の
発症割合

出典:厚生労働省「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」

2.過去の労災事例から学ぶ

電気工事現場での熱中症事故は、閉鎖空間での作業や感電防止装備に関連するケースが多く、他業種にはない複合的な危険が潜んでいます。

事例1 屋上キュービクル作業

ビル屋上でのキュービクル点検中に意識障害

8月上旬、ビル屋上のキュービクル(高圧受電設備)の年次点検で、絶縁手袋・絶縁長靴を着用して作業していた47歳の電気主任技術者が、作業開始2時間後にふらつき始めた。屋上のコンクリートからの輻射熱と絶縁装備の熱こもりで深部体温が急上昇。活線近接作業中だったため感電リスクもあった。

教訓:屋上作業は日陰テントを設置し、絶縁装備着用時は30分ごとの冷却休憩を必須とする。単独作業は禁止。

事例2 天井裏配線工事

天井裏のケーブルラック配線中に脱水症状

7月下旬、商業施設の天井裏でLANケーブルの敷設作業に従事していた35歳の作業員が、激しい頭痛と吐き気を訴えた。天井裏は換気がなく室温は45℃に達しており、狭い空間で長時間のうつ伏せ作業が続いていた。脱水症と診断され2日間入院となった。

教訓:天井裏作業は事前に送風ダクトで換気を行い、連続作業は20分以内に制限。体温・湿度のモニタリングが必要。

事例3 太陽光パネル設置工事

屋根上の太陽光パネル設置中に熱射病

8月中旬、住宅の屋根上で太陽光パネルの設置作業中、28歳の作業員がパネルを持ち上げた際にバランスを崩し転倒した。意識はあったが受け答えが不明瞭で、深部体温39.7℃の熱射病と診断。屋根面温度は70℃近くに達しており、照り返しの影響で体温が急激に上昇していた。

教訓:屋根上作業は午前中の早い時間帯に集中させる。WBGT31℃以上では作業中止。パネル表面温度の計測も実施する。

3.ガイドラインと法的義務

電気工事業の事業者は、労働安全衛生法に基づく一般的な安全管理義務に加え、電気事業法・電気工事士法に基づく安全管理義務があります。熱中症による判断力低下は感電事故に直結するため、特に厳格な管理が求められます。

事業者の法的義務

1
作業環境のWBGT管理

屋上・天井裏・ピット内など作業場所ごとのWBGT値を計測し、基準値超過時の作業制限を設定する

2
作業環境の改善措置

閉鎖空間の送風換気、屋上への日陰テント設置、冷却設備の配備

3
作業時間と休憩の管理

高温環境での連続作業時間の上限設定、絶縁装備着用時の休憩頻度の増加

4
複合リスクの管理

熱中症と感電の複合リスク評価を実施し、体調不良者の活線作業従事を禁止する

5
教育訓練と安全ミーティング

熱中症予防と感電防止の複合教育、作業前のKY(危険予知)活動への熱中症項目追加

安全配慮義務違反のリスク

電気工事中の熱中症事故は、感電事故との複合災害となった場合、事業者の責任がより重大になります。判断力が低下した状態での活線作業を容認した場合、安全配慮義務違反に加え、電気事業法上の安全管理不備として処分を受ける可能性があります。

作業前の体調確認記録、WBGT管理記録、活線作業時の安全確認記録を確実に残すことが重要です。

4.現場で使える対策チェックリスト

電気工事の現場代理人・職長が確認すべき項目です。感電防止と熱中症予防の両面から安全を確保してください。

作業前(KYミーティング時)
  • 天気予報・WBGT予報を確認し、高温環境作業の可否を判断
  • 全作業員の体調確認(体調不良者は活線作業から外す)
  • 天井裏・ピット内の換気準備(送風ダクト・ファンの設置)
  • 飲料水・塩飴・経口補水液を作業場所の近くに配備
  • KYシートに「熱中症リスク」の項目を追加して確認
作業中
  • 閉鎖空間(天井裏・EPS・ピット)の連続作業は20分以内
  • 絶縁装備着用時は30分ごとに装備を外して冷却休憩
  • 水分補給は20分に1回、コップ1〜2杯を声かけ
  • めまい・ふらつきを感じたら即座に活線作業を中止
  • 屋上作業はWBGT値を1時間ごとに確認し、基準値超過で中断
  • 作業員同士の声かけで顔色・動作の異変を確認(バディ制)
異常発生時
  • 直ちに活線作業を安全に中止し、電源を遮断
  • 絶縁装備を脱がせ、涼しい場所に移動して体を冷やす
  • 意識がある場合は経口補水液を少しずつ摂取させる
  • 意識障害がある場合は即座に119番通報
  • 発生状況を記録し、元請・労基署に報告

5.WBGTを活用した作業管理

WBGT(暑さ指数)は、電気工事現場の熱中症リスク管理に不可欠な指標です。特に屋上・天井裏など一般気象データと乖離しやすい作業場所では、現場でのWBGT計測が重要です。絶縁装備着用時は補正値を加算して管理してください。

WBGT値 危険度 電気工事での対応
31℃以上 危険 屋上・屋根上作業は原則中止。天井裏作業も中止。活線作業は全面禁止
28〜31℃ 厳重警戒 絶縁装備作業は20分ごとに冷却休憩。天井裏は15分以内。屋上にテント必須
25〜28℃ 警戒 1時間ごとに休憩。閉鎖空間は換気を確認。水分・塩分補給の促進
25℃未満 注意 通常作業可。ただし天井裏・EPS内は個別にWBGT計測を継続

現場近くのWBGT予報を確認

heat119では環境省データに基づく全国のWBGT予報を無料公開しています。

6.heat119で電気工事の安全を守る

heat119は電気工事現場の特有リスクに対応し、体調不良による感電事故を未然に防ぐための体調管理機能を提供します。分散した現場の作業員を一元的に見守れます。

WBGT自動通知

現場エリアのWBGT予報をリアルタイムで監視し、基準値超過時に現場代理人へ自動通知。屋上・天井裏作業の可否判断を支援します。

作業員の体調見守り

作業前の体調申告で活線作業の適否を判断。作業中も定期的な確認で、体調不良者を早期に発見できます。

危険アラート

体調確認への未応答を即座に検知し、管理者へ通知。天井裏やピット内で作業する作業員の異変にも迅速に対応できます。

法令遵守の記録管理

WBGT値、体調確認の記録、対策の実施履歴を自動保存。安全配慮義務の履行を客観的に証明できます。

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